ISU の余りに深い罪(3)2013年09月01日

 ところで、旧方式のほうが主観的と思われがちだが、新システムも恐らく同じくらいに主観的である。あれだけ沢山の数字を導入しておいて、客観性はたいして担保されていない。
 新システムでは、TES(total element score トータル・エレメント・スコア/技術点に近い)と、PCS(program component score プログラム・コンポーネント・スコア/表現点に近い)とを合計した得点で、順位が決定される。この得点は、もちろんのこと、審判が演技全体や個々の技の要素の出来具合を判断して、点数を付けたり、加点・減点して算出される。
 どんなスポーツでもそうだが、ルールブックやガイドラインが存在し、それに則って判定が行われる。しかしフィギュアスケートではかなりの程度、恣意的なジャッジング、判定が可能である。
 先ず、既に構造的に、PCSはジャッジの印象によって左右される。だが、それはそういうものだとも言える。「表現力」に対して万人に共通の論理を適用することは、今のところ不可能だろう。
 次に、TESはPCSより客観的に示されるように思えるはずだが、現実はそうなっていない。TESにおいて、加点と減点はPCSに負けず劣らず、恣意的で主観的な印象によって付けることができる。ただ、これも構造的な問題であって、仕方ないと言える面がある。良心的な運用がなされれば、多くの人が納得できる可能性は高い。
 さて一番の問題点をここで指摘しよう。それは「良心的な運用」という言葉と関係しており、Yu-na選手の採点に多く見られる、というよりYu-na選手にばかり有利になされているとしか考えられない、ルールの適用、判定に関係する。
 すなわちルールの適用、運用のされ方がおかしいのであり、これがISUの現行ルールの最大の問題点である。そして改善の一番の近道は、ジャッジの匿名性を廃して、判定の透明性を確保することである。
 たとえこの変更が形式的だと思えても、目的ははっきりしている。どのジャッジが納得できない判定を行っているのかを、我々が知ることができるようにするためである。

★(4)へ続く。

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